2019年 8月 の投稿一覧

11話 伸びない売上

 融資でつなぎ、やっとのことで乗り越えた1年目。当然厳しい経営はまだまだ続きます。どこかの先生が「2年目は2倍になったよ」と言っていたのを思い出し、せっせとヒマな昼の診療と毎日のようにかかってくる夜の電話をこなす。正直、ここまでやっているのに経営が苦しい理由が全然わからなかった。誰か詳しそうな人が来る度にどこが悪いか聞いてみるけど、誰も「わからない」としか言ってくれない。

 そして徐々に患者さんが増えつつ、それでも危ない橋を何度も渡った2年目の売上は・・・50%アップ。ん~、たぶん増加率としては悪くないんだが、ぜんぜん楽にならないぞ?まわりの先生を見てみると、病院によっては2年目でとっくに黒字になってるし、場合によっては勤務医を入れてる。うちにはほど遠いわけで、いよいよ焦ってきました。

 さらに、例の「3年我慢すれば楽になる」の3年目。売上は前年比30%アップ・・・。たぶん一般的なお店だったらすごい数字なんだろうけど、動物病院にとってはどんどん成長が鈍化している表れでしょう。勘違いしていけないのは、病院はカルテの数とともに売上が年々上がっていき、何年目かにピークをうった後はダラダラと下がっていく業態だということ。最初の数年は上がるのが当たり前。このことから私は、「このままだと数年で成長は止まるぞ?」と考えたわけです。いくら病院を閉めてセミナーに行っても、何冊臨床の本を読んでも効果があるとは思えなくなっていました。

 そして、4年目に入ったこの頃から私は本気で経営について考え、勉強を始めたのです。

 

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10話 あまりに早い運転資金ショート

 今から考えると最初の事業計画書はとんでもなく楽観的なものでした。開院時に用意した運転資金は300万円以上ですが、それが枯渇するのに1年もかからなかったのです。フィラリアシーズンが終わると毎月のように数十万の赤字、秋ごろには冬を越せないことが確定していました。

 通帳の残高が10万円を切るようになって来た頃、いよいよこの開業が成功ではないことを認めざるをえない状況となり、たいへん悔しい想いをしました。それでも、なんとか支払いが滞らないように都合しなければと重い腰を上げたのです。経営経験のない1年目の私は、すでに借金が高額な状態で追加で借りるというのは恐ろしくてできませんでした。そこで、父親に頼んでみることにします。正直、これは本当に不本意なことでした。事業がうまくいっていないことを伝えることにもなるし、開業した後までまた親の負担を増やすなんて・・・。

 昔からいざという時は甘い親でした。今回もある程度わかっていたのか、特に何か言うわけでもなく承諾してくれました。こんなことを言うと金持ちの家のように思われるかもしれませんが、私の両親は重度の節約家でせっせと貯めていた老後の資金の一部を貸してくれたのです。こうして、光が見えないままなんとか1回目の冬を越せる資金だけは確保できました。

 

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