今から考えると最初の事業計画書はとんでもなく楽観的なものでした。開院時に用意した運転資金は300万円以上ですが、それが枯渇するのに1年もかからなかったのです。フィラリアシーズンが終わると毎月のように数十万の赤字、秋ごろには冬を越せないことが確定していました。
通帳の残高が10万円を切るようになって来た頃、いよいよこの開業が成功ではないことを認めざるをえない状況となり、たいへん悔しい想いをしました。それでも、なんとか支払いが滞らないように都合しなければと重い腰を上げたのです。経営経験のない1年目の私は、すでに借金が高額な状態で追加で借りるというのは恐ろしくてできませんでした。そこで、父親に頼んでみることにします。正直、これは本当に不本意なことでした。事業がうまくいっていないことを伝えることにもなるし、開業した後までまた親の負担を増やすなんて・・・。
昔からいざという時は甘い親でした。今回もある程度わかっていたのか、特に何か言うわけでもなく承諾してくれました。こんなことを言うと金持ちの家のように思われるかもしれませんが、私の両親は重度の節約家でせっせと貯めていた老後の資金の一部を貸してくれたのです。こうして、光が見えないままなんとか1回目の冬を越せる資金だけは確保できました。
11話 伸びない売上 へ続く
